まだ薬剤師として働き始めた頃の話です。
その患者さんは50歳代。
糖尿病による眼底出血で眼科に通院しておられました。
なかなかこちらが話を振っても答えてもらえず、
とにかく薬を早く出してくれという雰囲気の方でした。
もうこちらも半分会話を諦めかけていたのですが、
併用薬やコンプライアンスの確認のためにすこし話を振ったときの事です。
(´(・)`)「他に何か薬は服用されてますか?」
( ゚Д゚)「あ?そんな事はもうどうでもいいだろ」
(´(・)`)「いや、飲み合わせとかの問題もありますから」
( ゚Д゚)「医者にちゃんと言ってるよ」
(´(・)`)「はあ」
( ゚Д゚)「薬剤師のしごとって何だよ」
(´(・)`)「え?・・薬をお渡しする事でしょうか・・」
( ゚Д゚)「なら早く渡せばいいんだよ」とまあ、こんな会話になってしまったのです。
今でも悔やまれます。どうしてあの時、
「薬剤師の仕事はあなたを守る事です」と言えなかったのか。
結局、後日、家族の方から聞いた話で
ご本人さんは癌の治療もされていたとか。
あまり状態は良くなかったみたいです。
以来、1年半ほど家族の方が薬局へ
代理で薬を取りにこられていたのですが、
その後、亡くなられました。
奥さん曰く、
「頑固者でご迷惑をおかけしました。
お薬の事で色々お世話になりました」
と言ってくださいました。
薬剤師の仕事とは・・・ということをご本人に伝える事も出来ぬままに。
もう、悔しくて悔しくて、未熟な自分が情けなくて。
あれから何年経つでしょうか。
そのときの思いを胸に今は、目の前の患者さんだけでなく、
この日本の国民を保健衛生の面から守るべく、薬剤師の仕事をしています。
今では胸を張って言う事が出来るようになりました。
「薬剤師の仕事とは、あなたを守る事です」これからも頑張ります。
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