さて、今回は
エフェドリンについて紹介します。
構造式は下記。
エフェドリンは明治18年、
長井長義氏が植物のマオウ(麻黄)から単離抽出しました。
薬効としては、交感神経興奮作用があるので、
・総合感冒薬(風邪薬)
・気管支拡張剤
を中心に使われています。
ただし、これらに含まれるエフェドリンは薬効を
よりマイルドにした誘導体の
dl-塩酸メチルエフェドリンが用いられています。
「dl-」って何よ?と思うかもしれませんね。
これ説明すると、話が逸れすぎますので割愛しますが、
いつかお話ししようと思います。結構面白いので。
興味がある方は、「光学異性体、旋光性」とかで検索してみてください。
酒石酸どうたらこうたらという話にぶつかったらビンゴです。
話を戻します。
現在では、このエフェドリンを基本構造として
様々な医薬品が合成されています。
dl-塩酸メチルエフェドリンですが、市販薬にも多く使われています。
主に
咳止めに比較的含有率が高くなっています。
私、ドラッグストアに勤めていた時期もあったのですが、
その時、毎週のように、ある咳止め薬を買って行くお客さんがいました。
その数、毎回6本。さすがに6本もそれを購入すると結構な値段になるのですが、
毎週決まって買いに来てたんです。まだ薬学部を出たての私でさえ、
「毎週そんなに飲むか?」という違和感があり、成分表示を見ると
・・塩酸エフェドリン。
「あ、これか。」良いのか悪いのか、なぜ6本も購入するのか意味が分かったんです。
簡単に言うと、「
乱用してた」ということです。
正直、商売上いっぱい買ってくれるのは嬉しいのですが、
乱用目的に買って行ってもらうのは困るということで、
その後、購入は1回につき1本まで。
という独自ルールを打ち出して販売する事にしました。
いや、でもあちこちの薬店を回ったら
結局6本ぐらいは手に入れられるんですけどね。
現在では大体どこのドラッグストアでも
3本まで。とかいう張り紙をしてるのを見ます。
国民を薬漬けにするのが薬剤師の仕事じゃないですからね。
さて、第1回から第3回まで、3種類の薬物を紹介したのですが、
何か気がつきませんでしたか?このブログを見ている薬剤師さんとか化学合成系の仕事をされてる方なら
「はいはい、何を言わんとしてるか分かるぞよ」と思ってくれていることでしょう。
では、次回からは、なぜこの3種類の薬物をピックアップしたのか。
そして、これらの話がどうのように非合法ドラッグに
繋がるのかを解説してきたいと思います。
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