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過去4回にわたって「非合法ドラッグ講座」として、
いくつかの薬物を紹介してきました。

そして前回、「構造活性相関」という事についてお話ししました。
これで薬物という物がどうやって開発されてきたのかが
少し分かって頂けたかと思います。
もちろん、薬物の開発方法や種類はまだまだ沢山あります。


さて、なぜ非合法ドラッグが次々出てくるのか?


それは、この構造活性相関を使って
構造式を少し変えた物が次々に開発されてしまうから
なのです。

しかも、薬物の規制というのは非常に難しくて、
例えば、亀の甲みたいな構造をしているベンゼン環を
規制してしまえば良いのではないか?とか思われるかもしれませんが、

ベンゼン環などは他の合成化学の分野でも非常に重要なもので、
これを薬事法で規制しよう物なら、ビニール袋1つ作るにも
やたらに面倒くさい申請が必要になります。そんな事をしてしまうのは非現実的です。

薬物というのはその構造が少しでも変われば思いがけない薬効を示す事もあるので、
その構造の基本的なものを規制する事には無理が生じます。
非合法薬物を規制するあまり、
新しい医薬品開発の妨げになる事があってはならないのです。


ですので、どうしても非合法ドラッグが見つかってから
それを規制するという順番になるんです。これがイタチごっこの真相です。



ここでよく考えて欲しい事があります。

いままで紹介してきた薬物は構造がほんの少し違うだけで、
覚醒作用がメインになったり、咳止めの効果が強くなったりする訳です。

つまり、構造活性相関を保っているからといって、
どういった効果が出るかは、生体実験をしてみないと分からない
のです。

これら非合法ドラッグを製造している人間が
自分自身でその実験をすると思いますか?


私が製造者だったら絶対にしません。嫌です。

せいぜいマウスに与えて即死するかどうかを観察してから
薬漬けになってる人間に与えてみて様子を見るでしょうね。
反応が良ければ販売開始といった感じにするでしょう。


そんな薬物が入っているかも知れない物を服用する気になりますか?
ダイエットできるという噂を真に受けて服用しますか?
それがどれだけ怖い事か分かりますか?



今回をもちまして、非合法ドラッグ講座を終了します。
読んで頂いてありがとうございました。

これを機に、薬に対する考え方に変化があれば、
この講座を書いた甲斐があったという物です。

では、最後に呪文を唱えておきます。

薬物乱用ダメ!ゼッタイ!



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最近、このブログに来て頂いてる皆さんの
検索キーワードに「行政刷新会議 + 柔道整復
というものでやってくる方が結構おられます。

当ブログは主に薬関連の話が多いので、
柔道整復に関してはチラッと書いただけです。

でも、せっかく来て頂いてるのに
情報が何もないのでは淋しいですので、ちょと調べました。

あ、ちなみに我が家は親父が鍼灸師で、
二人の兄は鍼灸師・柔道整復師の両資格を持っています。
私だけ、トチ狂って薬剤師です。はい。


さて、柔整師問題というのは一体何なのかを簡単にまとめます。
引用元:m3.com

・柔道整復の対象は骨折、脱臼、打撲、捻挫、などの急性の外傷だが、
 実際の診療では、腰痛などの慢性疾患にも施術している。

・応急手当としての骨折・脱臼などでは医師の同意を必要としないが、
 現状として本当にそれで良いのか。

・不適切な施術で健康被害が起きている。

・柔道整復の療養費は"受領委任払い"というシステムをとっており、
 請求内容が妥当かどうかが確認しにくい。

・柔道整復師の養成校は1998年10月では全国で15校、
 一学年定員1050人だったが、2009年6月時点で98校8368人に急増。
 これに伴い、2002年度の2883億円から2007年度には3377億円に増加。
 しかもこの数字は厚労省の推計値のみで細目ではなく、
 推計として4297億円あると考えられている。

・接骨院・整骨院では、3カ所以上のけがをしている患者が半数を超える。
 という報道があるが、今年6月に整形外科を受診した患者を調査した結果では、
 外傷患者7393人の受傷部位は平均1.22部位にすぎない。
 請求内容として正しく行われているかが疑問。


とまあ、こんな問題があるようです。
いや、知りませんでした。身内の家業のくせに何も知りません。


これを受けて、事業仕分けの結論としては、

・柔道整復師の養成数を管理できる法制度にすべき。

・柔道整復師の治療については、不正治療の疑念はぬぐえない。
 適正な保険給付に向けた改善を実施すべき。

・3部位請求に4部位請求と同様に状況理由を報告させ、
 給付率を33%に引き下げるべき。


という事になったみたいです。
当然ですが、関係者はこの内容には納得していない様子。


まあ確かに、養成学校がこれだけ増えたら、
そりゃ医療費も増えますよ。

ちょっと数の規制をした方が良いかもしれませんね。
誰もがなれるような国家資格だと意味がないですし、
数が増えればその国家資格の価値も下がってしまいます。

文科省にも働きかけた方が良いのかもしれません。
ただ、何となくですが、柔整師の団体って
かなり纏まりが悪そうな気がします。団結力がないというか。
ま、薬剤師会も他人の事は言えませんけどね。


この刷新会議では、

・受領委任払いは、柔道整復師にのみ求められた特権。
 これを改めない限り、問題は解決しない。償還払いにすべき。
 
・医療行為と、腰痛や肩こりに対するマッサージの境が
 曖昧になっていることが一番の問題。
 だから患者はこのアメニティも保険で受けられると勘違いしている。

・ふぐの調理の免許を持たない人に、ふぐ料理を作ってもらうのか。
 ということだ。“柔道整復師問題”には患者の命がかかっている。


という意見も出ているようです。



どうしてここまで文句を言われるのか?
それは、

健康保険を使って診療報酬をもらってるから
に他ありません。

これがもし、柔整師が健康保険を使えず、
完全実費で患者さんから報酬を貰ってたら
こんなに文句言われません。

柔整師がこれからも生き残るには、

・一致団結して政治的影響力を持つようにする。

・診療報酬が保険から貰えなくなっても良いように
 徐々に完全実費へ切り替えて行く。

ぐらいでしょうか。ある意味リスク分散しておかないと
このご時世は危険がいっぱいですからね。

腕が良くて、口が立って、人気があればこういう業界は無敵です。
ちょっとした宗教みたいな物ですから。

あの先生にやってもらったら一発だった!

とかファンが出来れば、そこからネットワークが広がって
とんでもなく遠くからでも診察受けにきますからね。


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はい、
それでは過去3回に渡って紹介して来た薬物を再度、見てみましょう。

メタンフェタミン


アンフェタミン


エフェドリン




どうですか?
気がつきませんか?
そうです、これらの薬物はそれぞれに

構造が非常によく似ている

という特徴をもっています。

メタンフェタミンからCH3を取ったものが
アンフェタミン。

メタンフェタミンにOHを付けたものが
エフェドリン。


ちょっとした構造の変化でその薬効が違ってきます。
そして、これらの効果を発現する基本構造があるという事なのです。

医薬品を開発する際には、
薬効を発現させるための基本構造を保ちつつ、
ちょっとずつ構造を変化させる必要があるのですが、
上記の3つの構造式から分るのは、

・左端にベンゼン環(亀の甲みたいなもの)
・ベンゼン環から数えて直線が3本目の距離にN(窒素原子)
・Nがある反対側の枝にCH3


以上の基本構造が必要だという事が考えられます。
このように、ある薬効を示すために維持するべき基本的な構造を

「構造活性相関」


といいます。


次回、非合法ドラッグ講座は最終回です。
イタチごっこの真相をお話しします。


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